- 特例非上場株式等の贈与後、特例贈与者が死亡した場合、切替相続税の納税猶予に入る。
- ここで被相続人の財産につき、民法1046条2項により具体的相続分を計算し、他の相続人の取得財産が、なお、遺留分を侵害している場合に、その相続人の選択により、遺留分侵害額の請求を受ける。
- 相続税法においては、相続税評価額と法定相続分になれているが、民法相続法においては、時価と特別受益の持ち戻し及び具体的相続分の計算になれたい。
- 以下事例は、被相続人の贈与財産=非上場株式(相続税評価額が5億円、時価10億円)、被相続人の直接の相続財産が預金等5億円の場合。
相続人 | 遺留分率 | 遺留分額(時価) | 取得原因 | 具体的相続分率(潮見他before/after弘文堂p191など参照) |
配偶者 | 0.250 | 375,000,000 | 具体的相続分 | 0.6667 |
長男 | 0.125 | 187,500,000 | 贈与 | 0.0000 |
次男 | 0.125 | 187,500,000 | 具体的相続分 | 0.3333 |
- この場合の取得財産と遺留分額は次表となる
相続人 | 民法上の取得財産額 | 遺留分侵害額(マイナスの場合は0) | 遺留分侵害負担額(配偶者は請求せず) | 更正の請求・修正申告課税価格 |
配偶者 | 333,333,333 | 41,666,667 | 0 | 0 |
長男 | 1,000,000,000 | -812,500,000 | 20,833,333 | -10,416,667 |
次男 | 166,666,667 | 20,833,333 | 0 | 10,416,667 |
- この場合に特例系承継相続人は、相続税の更正の請求となる。
- https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/1585-10.htm
- 上記より用紙入手して行うが、これらは計算結果の手書き入力であって、実務上は、相続税の期限内申告から、修正申告を選択して計算することになる。
- 相続税申告書において、上記の課税価格をプラス財産及びマイナス財産を入力後、期限内申告で作成した第8の2の2表と同付表1,2の再入力が決定的に大事になる。
- なぜならば、更正の請求において、遺留分義務者=特例経営承継受贈者の差引納付税額を上限として、猶予税額が決まるのであって、ここでは、この第8の2の2の付表において、期限内申告において選択した特例株式等の数を減少せざるを得ないので、注意が必要である。
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以上は2019年11月に記載したが、2020年7月の国税庁質疑応答事例では、遺留分侵害額請求によって、相続税納税猶予額が減少するが、株数は減少できない旨明示されたので、
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問1-5、問4-8
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従って、実務は、侵害額の支払は、借入金で対応し、事業承継の5年間と金庫株特例の3年間をうまく検討し実行するなどの対策の検討がいる