本日の日経新聞 当事者の発言

国税庁 山県哲也個人課税部長
考案者 松田良成弁護士
導入企業服部祐輔取締役が発言している

事前照会について

国税庁 「信託型のスキ-ム全体の説明を受けたうえで「給与所得にならない」
と回答した事実はない」

松田弁護士 「17年に名古屋国税局に、20年に東京国税局に対面で資料も提
供して問い合わせた。」
「オ-ナ-が信託に資金拠出するタイプであれば、譲渡益課税である」との回答
を得ている」

実際の信託型の類型

(1)オ-ナ-が委託者(初期型)
(2)オ-ナ-が委託者、企業が信託法第123条の信託管理人をおいた
(3)企業=株式発行法人が委託者
があるようだ。
税務署としては、受益者不在信託について、受益者の指定=決定に企業がどう関
与したかを問うだろうし、企業が実質的に決定している場合は、受益者が受けた経済的利益について、
給与と認定されるリスクが高くなる。

権利行使時給与課税は2重課税か

松田弁護士 「信託型は法人課税信託という仕組みを使っており、オ-ナ-が資
金を拠出した段階で法人税を納付している。このため、国税庁の見解通りに役職
員に給与課税すると2重課税になる。」

他益信託は、本来受益者が委託者からの贈与とて課税を受けるが
信託設定時及び信託期間中に受益者が存しない場合、法人課税信託「法人税法第
2条29の2ロ 第12条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。)が存しない信託」なので、本来の贈与税に代えて信託財産に係る法人税を納付する。

ここで納付したというのは、オ-ナ-又は企業(形式的には受託者)が法人課税信託に係る法人税を納
付しただけであって、これだけでもって給与課税の根拠条文である所令84条第
3項第2号の新株予約権(当該新株予約権を引き受ける者に特に有利な条件若しくは金額であることとされるもの又は役務の提供その他の行為による対価の全部若しくは一部であることとされるものに限る。)

という新株予約権に該当しないというのは困難ではないか

実質社員への無償付与で給与課税

国税庁は、「信託という箱を利用しているだけで、役員や従業員は会社から権利
を無償で得ている。実態を重視すると、無償のストックオプションだと考えてお
り、原則、給与となる。」

信託型ストックオプションが未行使である場合税制適格に変更できるか

なお、国税庁は、「一定の要件を満たせば、既存の信託型も税制上の優遇措置が
受けられる。」といっているので、ここは明確にしてほしい。

これは、既存の国税庁の質疑応答事例
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/28.htm
「ストックオプション契約の内容を税制非適格から税制適格に変更した場合」
とは異なる見解なので、明確化を期待したい。

行使者がいる企業の文書確認に応えてほしい

なお企業において、「信託型は様々なスキ-ムがあると考えている。当社の管理
するスキ-ムも給与所得課税になるのか、税務署に文書で確認を求めている。」
関連して社外対象者への対応も求めているので、国税局は、該当する企業の確認にも明確
に回答してほしい。

企業は納得してから源泉の実務に対応してほしい。