https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/pdf/0020007-054_02.pdf

国税庁で、令和2年資産税課情報第14号で特例事業承継税制のQ&Aが公開された

問4-7 代償分割があった場合(主要部分の引用)

相続人の債務である代償債務について、原則は「代償財産の価額を代償財産の交付をした者が相続等 により取得したそれぞれの相続財産の価額の割合により あん 分し、それぞれの相続財産の価額から当該 あん分 後の代償財産の価額を控除する方法によることが合理的な計算方法と考えられる 。」

「代償財産として交付をした財産の価額を

①納税猶予 の適用を受ける財産の価額から優先的に控除する方法
②納税猶予 の適用を受ける財産以外の財産の価 額から優先的に控除する方法
③交付をした代償財産の価額を代償財産の交付をした者が相続 等 により取得をしたそれぞれの
財産の価額により あん分 し、それぞれの相続財産の価額から当該 あん分 後の代償財産の価額を
控除する方法のいずれかが考えられるが、特定の現物財産と代償財産とがひも付きになっておらず、相続財産全体に対して代償分割が行われた場合には、それぞれの相続財産に対し代償財産の価額が均等に
混入している と 考えられることから、③の方法によることが 合理的 であると考えられる。」

「ただし、 納税猶予 の適用を受ける株式等とそれ以外の財産とがある場合の代償財産の価額の控
除方法について法令において定められていない以上、 必ずしも③の方法でなければならないわけ
ではなく、また、納税猶予税額の計算上、納税猶予の適用を受ける財産の価額が大きい方が猶予
前の税額に対する猶予税額の割合が高くなり、申告期限までに納付すべき税額が少なくなること
からすれば、 納税猶予 の適用を受ける株式等以外の財産の価額から優先的に代償財産の価額を控
除して申告がなされてきたとしても 、 これを認めて差し支えない。」

「問 の事例では 、子Aは、被相続人の全財産である土地( 相続税 評価額: 2,000 万円)と X 株式会
社の株式( 相続税 評価額:1億 2,000 万円)を相続し、もう一人の相続人である子Bに対し 7,000
万円を代償財産として現金で支払っている。
したがって、子Aに係る相続税の課税価格の計算に当たっては、相続により取得をした土地の
価額( 2,000 万円)から、代償財産として交付をした現金の額 7,000 万円を優先して控除し、なお
控除しきれない 5 ,000 万円については納税猶予の適用を受ける X株式会社の株式 の価額( 1億
2,000 万円)から控除 し て 差し支えないこととなり 、 この場合には、その 控除後の価額( 7,000 万
円)を特例対象非上場株式等の価額として、 相続税額及び猶予税額の計算を行 うこととなる 。」

このように、相続人の債務である代償債務について、納税猶予税額の計算上、その控除方法は、法令に定めがないので、納税猶予の適用株式以外の財産から控除して申告してもいいと、認められたことの意義は大きい。この考え方は遺留分侵害額の控除方法についても準じて考えていいのではないか。