【登場人物】 ・被相続人:原告らの親族、相続開始前に資産管理会社に出資 ・原告ら:相続人、納税義務者 ・税務署:松本税務署長

【評価対象】 ・非上場会社の株式(資産管理会社の株式)

【事案の経過】

① 期限内申告 (平成26年8月13日)

  • 評価方法:併用方式(1株1,853円)
  • 納税額 約10億円

② 修正申告① (平成29年1月17日)

  • 評価方法:併用方式のまま
  • 一部内容修正

③ 修正申告② (平成29年6月19日)

  • 評価方法:s1+s2方式(1株2,263円)
  • 納税額 約13億円に増額

④ 更正処分① (平成29年7月7日)

  • 評価方法:純資産価額方式(1株3,443円)
  • 納税額 約20億円に更正
  • ※ 修正申告②に対する更正

⑤ 更正の請求 (平成29年12月8日)

  • 評価方法:併用方式(1株1,858円)
  • 減額更正請求

⑥ 更正の請求却下 (平成30年2月23日)

⑦ 更正処分② (平成30年9月7日)

  • 評価方法:純資産価額方式(1株3,443円)
  • 内容は更正処分①と同一

⑧ 不服審判請求→棄却 (令和3年8月27日)

⑨ 訴訟提起 (令和4年2月28日)

⑩ 判決 (令和7年1月17日)

  • 更正処分①②、賦課決定処分を取消す
  • 義務付け請求(減額更正)は却下

【税務署の主張構造】 ・併用方式は安すぎる ・s1+s2方式は直接否定せず ・純資産価額方式への一律更正(通達6による)

【裁判所の判断ポイント】 ・評価通達の選択制度(併用・s1+s2・純資産価額)は納税者に選択権あり ・租税負担軽減の程度は併用方式45%程度・s1+s2方式35%軽減 → 著しい軽減とはいえない ・合理的な理由なく通達6適用は違法

【実務的意義】 ・評価通達の選択制度行使の合法性を確認 ・税務署の恣意的通達逸脱を厳格に制限 ・租税回避スキームとの線引き判断に一定の実務指針を示す

「結論」修正申告のs1+s2方式で確定。