• 非適格合併の譲渡損益の計算について、興味深い質疑応答が国税庁に掲載されている。

  • https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/100810/pdf/09.pdf
  • 質疑問9によれば、「資産Bについて、(資産B) 時価譲渡したものとして時価と帳簿価額との差額について申告調整をする必要があります。」
  • 同時に前提条件として合併対価は、2,900としますとされています。これは=被合併法人の合併直前のB/Sの時価純資産価額と一致しています。
  • ここに疑問があります、なぜなら、合併対価は、実務上合併の数か月に、被合併法人の確定決算があり、評価基準日が定められ、この後に実際の計算日があり、新株が発行される場合は、合併比率を計算し、合併対価が全額金銭の場合は、交付金銭の総額と被合併法人の株主1人あたりの交付金額を定めます。
  • 以下合併対価は、全額金銭の場合で問題を検討します。そうすると「合併対価は2,900とします」ではなく、合併直前の過去において先行して決定された2,900です。これが、合併直前の被合併法人のB/Sとぴったり一致する可能性はほとんどなく、実務的・経験的に、被合併法人の合併直前のB/Sの純資産価額時価2,900のときに、事前に決定した合併対価が2,800であったり、3,000であったりします。
  • この場合も、「(資産B) 時価譲渡したものとして時価と帳簿価額との差額について申告調整をする必要があります。 」でいいのかという問題があります。
  • 第2に、被合併法人の別表4として当期利益1,000、非適格の合併等又は残余財産の全部分配等による移転資産等の譲渡利益又は譲渡損失額に300が加算され、所得金額は1,300とされています。そうすると、法人税・住民税等の税率を30%とすると、1300*0.3=390が未納法人税等として、被合併法人の合併直前のB/Sに計上される必要があります。(ここは預金等と両建てで省略されているのかもしれません。)
  • 実務的に合併対価はどう計算するのか

  • 実務的に合併対価の計算ですが、合併対価が全額金銭の場合は、被合併法人の直前期末の純資産価額を計算します。このときに重要な点は含み益に対する法人税等を控除して計算することです。この事例では300*0.3=90が計算されますから、事前に計算した合併対価は2,900-90=2,810となります。
  • 実際には、直前期末から、合併直前の間に、仮に当期所得が100見込める場合、純資産価額の増加は100-100*0.3=70ですから、さらに、これを織り込めば、事前に計算する合併対価は、2,810+70=2,880となり、結果としての被合併法人の合併直前のb/sの2,900と近くなります。
  • 実際には、法人税等の問題として事業税の問題もあり、合併対価の計算においては、財基通で定める、法人税相当額37%(「法人税(地方法人税を含む。)、事業税(地方法人特別税を含む。)、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」を38%から37%に改正するなど所要の改正を行った。(平成28年度改正)(評価通達186-2、明細書通達=改正)の37%により計算していいのではないか。